少し前の話になりますが、同じマンションに住む80代の男性と近所でばったり会った時のこと。
「実はワイフが先月末に亡くなりまして・・・・」
ここ数年は旦那様が献身的にお世話をしているのは知っていたのですが急な出来事だったようです。
その時には亡くなった時のお話などを伺っただけでしたが、少し経ってマンション内での交流会に来てくださり、奥様との思い出をお話してくださいました。
20代に知り合い、交際、結婚したいと思ったものの、奥様の体が弱いこともあり双方両親からの反対され、
10年待ってようやく結婚できたこと、結婚した際には「一生彼女を守ります」と誓い、それを数十年守ってきたこと。
共に音楽が趣味で出会ったので(旦那様は声楽、奥様はピアノ)二人での演奏も日常の楽しみだったそう。
「喧嘩などしなかったんですか?」と聞くと
「そりゃあ、たまにはあったけどほとんどなかったなぁ。とにかく愛しくて愛おしくてしかたなかったですよ」
奥様は前から入退院を繰り返すことも多く、晩年は「あなたに負担をかけているのが苦しい」とおっしゃっていたようですがそれを苦に思ったことは全くなかったとのこと。
「彼女からはそれ以上に本当に多くのことを教えてもらいました」
「生まれ変わってもまた奥様と一緒になりたいですか?」
「もちろんです。僕もそうだし〇〇ちゃん(奥様の愛称)もそう。私以外の人は選ばないでね、と言われました」
数十年経ってもお互いに全く変わらない愛情を持ち続けてきて、それを堂々と微笑みながらお話する姿は少し悲しげでしたが
慈愛に満ちた表情でもありました。
近所でお見かけするときにはいつも手を繋いで歩いていたお二人。
それこそみんなが憧れる「年取ってもチャーミーグリーンのCMのように手を繋ぎたい」ですね(古いから知らない方も多いか・・・)
「なんでみんなは手を繋がないんだろう?手を繋ぐとお互いの血が通い合うというか、なんとも言えない一体感があるんですよ。
ぜひあなたもご主人と繋いでみてください」
思わず、「え~~~っ!?」と笑ってしまいましたが・・・・。
でも愛情表現を表すのが苦手な日本人だけど少しは見習ってもいいかもしれないですね♪
熟年離婚の話など聞くことが多い昨今ですが、久しぶりに心温まるお話でした。